留学やホームステイは人生における一大決心のひとつ。住み慣れた場所や仲の良い友達にしばし別れを告げ、異文化に飛び込むのは勇気(とお金)が要りますが、得難い経験になることでしょう。
留学・ホームステイ生活ではいわゆる「衣・食・住」、どれにおいてもいつもの暮らしとはまったく異なる環境のもとで生きていかないといけないわけですが、この中でいちばんたくさん考えたり悩んだりするのはやはり「食」なのではないでしょうか?
「衣」は現地の気候という大きな制約があるのであまりおしゃれの余地はないかもしれません。「住」は運がよければ滞在期間ずっと同じ場所にいつづける可能性もあります。でも「食」は生きていれば毎日必ず選択の機会が巡ってきます。しかも一日のうちに、何度も。
それだけ何度も決断を迫られる「何を食べるか」問題ですが、さらに「おいしいものを食べたい」となるとまた難易度が跳ね上がってきます。
現地のご飯が口に合えばラッキーですが、あまり自分の好みとあわなかった場合や、日本食が恋しくなったときに、自分で日本食を作れるかどうかがポイントになってくると思います。
そこで今回は、実際に留学・ホームステイ経験のある私にぼしの体験をもとに、
- 「留学中はどんな食生活だった(日本食は食べられた)?」
- 「お米を炊く方法は?」
- 「鍋(寄せ鍋)を作る方法は?」
の3点について書いていきたいと思います。
留学中の食生活・日本食事情
※以下は2013年時点の情報をもとにしています。
留学先の暮らし:学生寮で4人ルームシェア!学食は安い!

私は交換留学生として、ドイツのケルンという都市に1年間留学していました。
留学中はケルン郊外の学生寮に住んでいました。「学生村」と呼ばれる広大な敷地の中に、マンションや一戸建てなどいろいろな形式の住まいがあり、その中で住む場所を割り当てられます。
私の場合は2階建ての一戸建ての1階部分に住んでいました。1階には留学生4人で住んでいて、それぞれの鍵付き部屋(下の写真のような雰囲気)と共用の玄関・LDK・バストイレがありました。

そんな環境だったので、鍋やお皿、カトラリーなどのキッチンツールは共用です。
短い人は半年、長くても数年しか住まないのですが、出ていくときに身軽でいたいという意識は共通らしく、歴代の住人たちが置いていったと思われるキッチンツールや各国の調味料が所狭しと並んでいました。
コンロは電熱式(鉄板が熱くなるようなもの)が2口あったように思います。ここでめいめい自分のごはんを作ったり、時間が合えば一緒にご飯を作ったりシェアしたりして、取り止めのない話なんかもしながら過ごしていました。

外食は主に学食やカフェ、ファストフード。カフェやファストフードは、あまり日本と変わりません。スタバでラテを飲んだり、マックでチーズバーガーを食べたり。
ちなみに最初の数日間は学生寮に入居できずユースホステル暮らしだったので、無料で使えるスタバのWi-Fiがどんなにありがたかったかわかりません。
ドイツらしい食事と言えるのは学食や、たまに行く地元のレストランの食事でしょうか。どちらも、結構自分の好みと合っていたのでラッキーでした。
そういえば周りの日本人留学生たちの中でも、「何も食べられなくて困る」ような子はひとりもいなかったと思います。
ちなみに学食が安く、1食2ユーロほどでセットメニューが食べられたのには助かりました。(当時は1ユーロ100円を切っていたのでさらにお得度が高かったと思います)
下の写真はある日の学食です。骨付き肉(アイスバイン風)、ザワークラウト、マッシュポテト、生野菜のサラダと牛乳プリン。結構量がありますが、これで2.2ユーロはありがたい。

ちなみに、日本の学食やビュッフェによく置いてある胡麻ドレッシング(割と好き)はこちらにはないので、自分でバルサミコ酢とオリーブオイルと塩をかけて食べていました。
マッシュポテトと肉はよくメニューにのるので、毎日食べていたかもしれません。あと日本では苦手だったビールが飲めるようになりました。
結果、1年間で4キロくらい太りました。
ドイツの日本食事情
実は日本食は、思ったよりずっと身近でした。
主要駅や街中のコンビニにはお寿司が売っていましたし、TeriyakiやSojasosse(醤油)などの言葉もよく見かけました。おまけになんと学生寮の最寄り駅すぐに日本食レストランがありました笑(しかも結構本格的)
急行電車で30分の隣町デュッセルドルフに行けばアジアン・日本食スーパーもあったので、そこでしか買えないものを買いだめして帰ってきたこともあります。
また、慣れてきてからは日本の家族と頻繁にやり取りするようになり、日本からはさまざまな日本食の入った小包が届きました。私はお返しに家族や友人に向けて絵葉書を書きまくりました。

「ドイツでも生きていける」と確信した瞬間
そんな感じで、幸いなことに現地の料理にも日本食にも恵まれていたというのが正直な実感です。
ですが、留学スタートからほどなくしてある日「これなら絶対私ドイツで生きていけるわ、よかった」と思わせるものを近所のスーパーで発見しました。
これです。

そう、私の大好きな葉物野菜、白菜です。
毎年鍋シーズンにはおそらく他の人の2~3倍くらい食べているんじゃないでしょうか。
とにかく、これさえ食べられれば私は生きていけると思っているので、最寄りのスーパーで買えるとわかったのは大きな収穫です。
しかし、白菜を食べるなら鍋にしたい。
どうせ鍋を食べるならご飯がほしい。
そんなわけで、ごはんと鍋を作ることになりました。
では、「白ご飯の炊き方」と「寄せ鍋の出汁の作り方」を紹介します。
白ご飯の炊き方
日本の白ご飯に近い「Milchreis(ミルヒライス)」を買おう
まずはお米を調達するところから始まります。
当初は、こちらでもメジャーなインディカ米(アジア各国の主食として食べられている、細くて水分が少なめのお米)で手を打とうか…と考えていました。
お米は日本食スーパーでも買えますがなかなか頻繁には行きづらく、たくさん買うとかさばるし重いという問題があったためです。
しかし、日本人学生の仲間が「Milchreis(ミルヒライス=ミルク粥用のお米)」が私たちが日本で食べているお米にもっとも近いというものすごい情報を教えてくれました。
おそらくこのリンク先の青いパッケージのものがメジャーどころだと思います。これなら、最寄りのスーパーにもありますし値段も500gで1~2ユーロとお手頃価格です。とりあえず1袋買ってきましょう。
お米を炊きます。計量カップやはかりはなかったので、マグカップを使って計量し、人数にあわせて加減します。
大きな鍋にお米と水を入れて何度か洗い、最後に水を入れて火にかけます。強火でぐつぐつ言ったら、火を弱めてそのまま煮ます。
しばらくたって蓋をあけると、白米のごはんのできあがり。初めて作れた日はまぁうれしかったです・・・。
炊き立てのご飯の写真は手元に残っていないのですが…その後焼き飯(リゾット?)風にしたのがこんな感じです。

ちなみにご飯が多少鍋底にこげついてしまうのですが、そればっかりは仕方ないと諦めて、食後に頑張って落としていました。
鍋の作り方:だしの代用方法と具材について
だしは「塩+醤油+ほんだし」で代用できる
これまた日本人留学生の友達が教えてくれたのですが、寄せ鍋のだしは
塩+醤油+ほんだし
でつくれるとのこと。
ちなみにこの鍋ハック(?)はめちゃくちゃありがたくて、留学中何度もこの方法で鍋を楽しんだだけではなく、いま日本で自炊をするときも、レトルトパウチの鍋つゆを使わないときはこの方法でつくっています。
それぞれ調達していきましょう。
- 塩:特にこだわりがなければ、スーパーでもどこでも売っています。すでに調味料の棚にあるもので十分使えるので、問題はありませんでした。
- 醤油:日本のメーカーのものを使うようにしてください。「ソイソース」「SojaSosse」と名のつくものはスーパーにはありますが、アジアの他の国から輸入した、風味のまったく異なる別物である可能性があります。日本の濃口しょうゆを手に入れましょう!
- ほんだし:こればかりはなかなか手に入らないので、日本食スーパーで買ってくるか、近くの日本人留学生仲間におすそ分けしてもらうか、日本にいる友達や家族に送ってもらうかがいいと思います。
これらを、
- ほんだし…1袋分
- 醤油…鍋のお湯がほんのり茶色になる程度(入れすぎ注意)
- 塩…塩気がたりないと思ったら少しずつ
入れれば、鍋のだしの完成です!
いま振り返って考えれば、お湯に溶かすだけで簡単に鍋が作れる「鍋キューブ」を持って行っておいたり、安いけど本格派の無印良品の「手作り鍋の素」を持って行っておけばお手軽に鍋ができたのになあ…と思わなくもないです。
…なのでいつか親しい人が留学に行ったり、海外赴任になったときには、送ってあげようと思います。笑
使える具材:白菜、にんじん、鶏肉、きのこ類など!
手に入れやすいものとしては
- 白菜(Chinakohl ヒナコール)
- にんじん(Karotten カロッテン もしくはMöhren メーレン)
- 鶏むね肉(Hähnchenbrustfilet ヘーンヒェンブルストフィレ)
などがあります。鶏むね肉は豚肉にしてもよいかもしれません。どちらにせよ「薄切り肉」は売っていないので、買ってきたら自分でなるべく塊肉を薄く削ぎ切りにしてください。
あとはお好みでマッシュルームを入れたりしてもよいかもしれません。
正月に、雑煮っぽいものが食べたくて(なぜか手元にあった)スライスされたタイプのお餅でプチ鍋をしたときの写真が残っていました。

まとめ:留学先でも日本食の自炊はできる!
今でこそ料理に慣れてきて、同時並行でおかずを作ったりもしますが、当時の自分は段取りもへったくれもなく、ご飯と鍋だけで相当な時間をかけていました。
それでもルームメイトたちがおいしく食べてくれて、さらに日本の調味料に興味を持ってくれたことがうれしく、本当にいい思い出です。(そしていまだに交流は続いています)
もしかしたら、私が料理好きになった原点はこの留学生活だったのかもしれません。
これから留学やホームステイを考えている方にも、(私が留学したのと似たような環境下であれば)留学先で日本食を作るのはまったく不可能じゃないし、さらに周りの人に振る舞ったりすると会話が弾んで楽しくなるよ、ということをお伝えしたいです!
「自炊」「異文化」の話は、これからもいくつか記事で紹介していくつもりです。よろしくお願いします!
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